子どもは、1人の人間です。
子どもの権利は、18歳未満のすべての子どもたちが持っているものです。
1989年に国連総会で決められた「子どもの権利条約」では、子どもの権利は大きく分けて4つ、どれも「その子どもにとって最も良いことは何か」を第一に考えることが大切です。
住む場所があり、防げる病気で命が奪われないこと。
勉強したり、遊んだりして、自分らしく育つことができること。
暴力やひどい扱いを受けることのないように守られること。
自由に発言したり、集まってグループを作ったりできること。
沖縄県では、沖縄の子どもたちがしあわせに育ち、学び、生活していくために「沖縄県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例」をつくりました。
子どもの権利を守っていくためには、保護者だけなく地域や行政が連携し、
子どもが安心して暮らせる環境づくりに努めていかなければなりません。
「沖縄県子どもの権利を尊重し
虐待から守る社会づくり条例」
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沖縄県子どもの権利を尊重し虐待から守る社会づくり条例
(令和2年3月31日沖縄県条例第12号)
子どもは、次代の社会を担う大いなる可能性を秘めた社会の宝であり、一人一人がかけがえのない存在である。子どもは、一人の人間として、また、自由かつ独立の人格を持った権利の主体として尊重されなければならず、全ての子どもの権利と健やかな発達を保障することは、社会全体の責務である。
しかしながら、子どもを取り巻く環境が大きく変化している中、その健やかな発達を阻害する事象が跡を絶たず、子どもはこれまでその権利が十分に認識され、保障されてきたとは言い難い状況にある。
子どもの権利の侵害の中でも虐待は、その心身の成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであるとともに、将来の世代に連鎖する懸念を及ぼすものであり、決して許してはならない。
近年、核家族化や地域のつながりの希薄化、経済格差の広がり等に伴う家庭や地域社会における養育力の低下が指摘されている。とりわけ沖縄県では、子どもの貧困が深刻な状況にあること、ひとり親家庭や若年出産が多いことなどから、保護者が子育てに関する悩みを抱える傾向がある。このような保護者が十分な支援を受けられず、社会において孤立することを余儀なくされた結果、虐待に至ることがある事実を社会全体で受け止める必要がある。
県、市町村及び関係団体等は、子どもが家庭で健やかに成長することができる環境づくりを進めるため、連携しながら、子ども及びその家庭に対し妊娠から出産、子育てまでの切れ目ない支援に努めなければならない。
こうした認識の下、子どもの権利を普及啓発し、社会全体で子どもの権利と虐待防止の理解を深め、その取組を推進し、虐待から子どもを断固として守り、子どもが健やかに成長することができる社会の実現を目指し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、子どもの尊厳を重んじ、子どもを虐待から守ることに関し基本理念を定め、県、保護者等の責務を明らかにするとともに、子どもを虐待から守ることに関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ効果的に推進し、もって子どもの権利利益の擁護及び子どもが健やかに成長することができる社会の実現に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
⑴ 子ども 18歳に満たない者をいう。
⑵ 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。
⑶ 虐待 保護者がその監護する子どもについて行う次に掲げる行為をいう。
ア 子どもの身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
イ 子どもにわいせつな行為をすること又は子どもをしてわいせつな行為をさせること。
ウ 子どもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人によるア、イ又はエに掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
エ 子どもに対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、子どもが同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。)その他の子どもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
⑷ 関係団体等学校、児童福祉施設、病院その他子どもの福祉に業務上関係のある団体及び学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士その他子どもの福祉に職務上関係のある者をいう。
(子どもの権利)
第3条 全ての子どもは、適切に養育されること、能力が十分に発揮されること、虐待から守られること、自己の意見を表明することその他の個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する。
(基本理念)
第4条 子どもは、前条の権利が保障され、個人としての尊厳が重んぜられるとともに、その最善の利益が考慮されなければならない。
2 虐待は、子どもの権利を著しく侵害し、心身の健やかな成長に重大な影響を与えるものであるとの認識の下、社会全体でその防止が図られなければならない。
3 子どもを虐待から守るに当たっては、子どもの生命を保護することが最も優先されなければならない。
(県の責務)
第5条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもを虐待から守ることに関する施策(以下「虐待防止施策」という。)を策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、虐待防止施策を策定し、及び実施するに当たっては、子どもの貧困対策の推進に関する法律(平成25年法律第64号)第9条第1項の規定により定める計画、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第62条第1項の規定により定める計画及び県が定める子どもの社会的養育に関する計画との整合性を確保しなければならない。
3 県は、虐待防止施策を策定し、及び実施するに当たっては、市町村及び関係団体等と連携しなければならない。
(県民の責務)
第6条 県民は、基本理念にのっとり、子どもの権利の重要性に関する理解を深めるとともに、虐待防止施策に協力するよう努めるものとする。
(保護者の責務)
第7条 保護者は、基本理念にのっとり、子どもを心身ともに健やかに育成するよう努めなければならない。
2 保護者は、子どもの監護及び教育をするに当たっては、当該子どもが苦痛を受けているかどうかを問わず、体罰を加える行為その他の心身の苦痛を与える行為であって、子どもの利益に反するものを行ってはならない。
(関係団体等の責務)
第8条 関係団体等は、基本理念にのっとり、必要に応じて県、市町村及び他の関係団体等と連携し、子どもを虐待から守るため主体的に取り組むよう努めるものとする。
(市町村への協力及び支援)
第9条 県は、市町村が実施する子どもを虐待から守る施策に必要な協力及び支援を行うものとする。
(基本理念の普及啓発)
第10条 県は、基本理念に関する県民の理解を深めるため、必要な広報その他の啓発活動を行うものとする。
(公表等)
第11条 知事は、毎年度、虐待防止施策の実施状況を公表するものとする。
2 知事は、前項の虐待防止施策の実施状況について、沖縄県社会福祉審議会に置かれた児童福祉専門分科会の意見を聴くものとする。
3 知事は、第1項の虐待防止施策の実施状況の公表に当たっては、市町村及び関係団体等に対し、必要な報告を求めることができる。
(虐待の未然防止)
第12条 県は、虐待を未然に防止するため、子ども及び妊産婦の福祉に関し、実情の把握、調査、相談その他の市町村が実施する切れ目ない支援について、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(虐待の早期発見のための環境整備)
第13条 県は、虐待を早期に発見することができるよう、市町村及び関係団体等と緊密な連携協力を図るものとする。
2 県は、虐待を受けたと思われる子どもを発見した者の通告(児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号)第6条第1項に規定する通告をいう。次条及び第15条において同じ。)又は虐待を受けた子どもからの相談が容易にできる環境及び体制を整備するものとする。
(通告に係る対応及び保護者の協力義務)
第14条 児童相談所長は、通告を受けたときは、必要に応じ近隣住民、学校の教職員、児童福祉施設の職員、子どもが居住する住宅を管理し、又は所有する者その他の者に対し協力を求め、当該通告に係る子どもとの面会その他の当該子どもの安全の確認を行うための措置(次項及び次条において「安全確認措置」という。)を講ずるものとする。
2 前項に規定する子どもの保護者は、安全確認措置に協力しなければならない。
(通告に係る体制の充実等)
第15条 県は、通告を常時受けることができる体制の充実強化を図るために人材の確保その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、通告又は虐待に係る相談を行った者及び安全確認措置に協力した者に不利益が生じないよう、情報の取扱いに必要な配慮をするものとする。
(情報の共有)
第16条 県は、虐待を未然に防止し、並びに早期に発見し、及び対応するため、市町村及び関係団体等との間における虐待に関する情報の共有を図るための連携協力体制の整備に努めるものとする。
(虐待を受けた子どもに対する措置等)
第17条 県は、虐待を受けた子どもが再び虐待を受けることなく、家庭又は家庭における養育環境と同様の養育環境若しくはできる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、前項の措置を講ずるに当たっては、里親に関する普及啓発、里親の援助及び里親への委託の推進並びに乳児院、児童養護施設等の養育環境の向上その他社会的養護の充実に努めるものとする。
3 県は、虐待を受けた子どもの心身の健康の回復を図るため、当該子どもに対し、年齢、心身の状況等を十分考慮した支援を行うものとする。
(保護者に対する支援)
第18条 県は、虐待を行った保護者について、虐待の再発を防止するため、市町村又は関係団体等と連携し、当該保護者がその虐待を受けた子どもとともに豊かな家庭生活を享受することができるよう必要な支援を行うものとする。
(子ども自ら行動するための支援)
第19条 県は、子どもが虐待から逃れるため自ら行動することができるよう、市町村及び関係団体等と連携し、子どもに対し情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(人材育成)
第20条 県は、虐待を早期に発見し、及び対応するために必要となる専門的な知識及び技術を有す る職員を育成するとともに、児童相談所の運営体制を強化するものとする。
2 県は、市町村及び関係団体等における人材を育成するため、これらの者が専門的な知識及び技術を習得するための研修等を実施するものとする。
(要保護児童対策地域協議会への支援)
第21条 県は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第25条の2第1項の規定により市町村が設置する要保護児童対策地域協議会の運営が適切かつ円滑に行われるよう、必要な支援を行うものとする。
附 則
この条例は、令和2年4月1日から施行する。
子どもたち自身が「子どもの権利」について知り、理解を深める機会として出前授業を行なっています。「子どもの権利とは?」も解説に、ワークショップやクイズを交え、楽しみながらもしっかりと学び、考え、習得することができる授業です。
対象は県内の小・中・高等学校。授業はオンライン授業と出張授業(講師が学校へ出向く授業)のタイプがあります。
各開催日に申し込みがあったすべての学校とオンラインで繋ぎ、複数の学校やクラスと同時に授業を受けていただきます。
授業時間:1コマ(小学校:45分 中学校・高等学校:50分)
講師が学校へ出向いて授業を行うため、各日程、開催できる学校は1校となります。クラス数などは申し込み後、個別に調整させていただきます。
授業時間:1コマ(小学校:45分 中学校・高等学校:50分)
※2コマのご要望にも対応いたします。
※授業開始時間は個別に調整いたします。
問い合わせ先:
株式会社エマエンタープライズ(山川・平良)
info@okinawa-kodomonokenri.jp
098-868-9332
RBCiラジオの大人気番組「Bランチ」を
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「子どもの権利」について、ゲストを交えて学んでいきます。
「子どもの権利」について知ってもらうための啓発ツールです。
学校やご家庭、団体などで必要に応じてご活用ください。